今回は、誰でもできる「指もみ法」を使って、「副交感神経」を優位にして、全身を「リラックス状態」にする方法を、紹介します。
この「指もみ法」は、緊張していて手足が冷たくなってしまいがちな人や、不安な気持ちで落ち着かない人などに有効です。いつでもどこでも自分一人で対処できるので、不安や緊張と言ったストレス状態の対処法として身に付けておくと安心です。
相談室でクライエントさんに、これまでにもしばしば紹介してきました。とても簡単な方法なので、皆さんも試してみて下さい。
はじめに
「指もみ法」を行う時の、注意点を上げておきます。
- 「指もみ法」をするときは、途中で息を止めてはいけません。ゆっくりと息を吸ったり吐いたりしながら、1本ずつ指をもんでいきましょう。
- 具体的には、指をもむときに、最初に息を吸って、その息をゆっくりと吐きながら「1、2、3、4、5」と、しっかり声を出して数を数えます。
- 再び息を吸って、その息を同じようにゆっくり吐きながら、先程の続きで「6、7、8、9、10」と声を出しながら数を数えながら、指先をもみ上げます。
- 最後の10回目の指もみは、「ジュー」と声を出して、息をすべて吐き切ると同時に、少し力を入れてその指をもみ上げて、終わりにしましょう。
(1)最初に「左手の指」をもむために、右手の準備をします。

最初は、「左手の指」から、順に1本ずつマッサージします。
そのために、右手の「親指」、「人差し指」、「中指」の三つの指を使って、写真のような形を作り、準備します。
(2)左手の「親指」のもみ方。

左手の「親指」を、先程作った右手の「親指」、「人差し指」、「中指」の三本の指で包みます。

左手の「親指」の先を、右手の「三本の指」で包んだら、「1、2、3…」と声を出して、数を数えながら、同時に「右手の指」にギュッと力を入れて、その「三本の指」をつぼめたり力をゆるめたりします。
ちょうど「左手の親指」の指先に、パルス信号を送るように刺激を与えます。
力を入れると息を止めがちですが、呼吸をし続けていることが大切です。

写真は、左手の親指の状態を、別の角度から見たところです。
右手の「三本の指」に注目しましょう。あなたの右手の指が写真と同じようになっているでしょうか。
左手の「親指」の爪の両端を、右手の「親指」と「人差し指」の「二本の指」で、ほんの少し強めに押してあげると、より効果的です。
(3)「親指」が終わったら、「人差し指」に移りましょう。

「親指」を10回もんだら、次に「人差し指」に移ります。
同じように10まで数を数えながら、指先に10回刺激を与えます。
(4)「中指」の指もみが終わったら、注意しましょう。
「人差し指」の指もみが終わったら、次は「中指」に移り、同じように10回もみます。
ここが【大事なところ】です。「中指」の指もみが終わったときは、気をつけましょう。「中指」の次は、「薬指」を飛ばして、「小指」に移って指もみをします。
「指もみ法」をするときは、「薬指」の指もみをしない方がよいようです。「薬指」を飛ばすことを意識しながら「指もみ」を行う方が、「指もみ」への集中力も継続するので、一石二鳥です。
(5)「左手」が終わったら、「右手」に移ります。

「左手」の「四本の指」が終わったら、今度は「右手」の「四本の指」の指もみに移ります。
最初は右手の「親指」を、左手の「親指」、「人差し指」、「中指」の「三本の指」で包んで、同じように10回刺激を与えます。
このときも、息を止めずに吸ったり吐いたりします。しっかりと声を出しながら、「10」まで数を数えましょう。

「親指」が終わったら、次は「人差し指」、「中指」へと、順に指もみを行います。
「中指」が終わったら、ここでも注意しましょう。右手の時も「薬指」はマッサージをしないで飛ばして、「小指」に移りましょう。

右手の「小指」の先を10回もみ終えましたか?
ここまでが「1セット」になります。
これを「3セット」から「5セット」行うと、きっとあなたの身体に、心地よい変化が起きていることでしょう。
まとめ:「指もみ法」を以下に整理しておきます。
- 息を止めると効果が半減します。呼吸を止めないためにも、必ず声を出して数を数えるようにしましょう。
- 軽い力でいいので、指先に1秒間隔で10回、断続的に刺激を与えます。
- もんであげる指のスタートは、「左手の親指」からです。
- 「左手の親指」→「人差し指」→「中指」→「小指」
- 「右手の親指」→「人差し指」→「中指」→「小指」と、順にもんでいきます。
- ここまでが「1セット」です。
- 1日1回「3セット」行いましょう。出来たら「5セット」行うと、効果的です。これが「レギュラー・トレーニング(標準訓練)」です。これを毎日の習慣にしましょう。
- 日ごろから「レギュラー・トレーニング」を1日1回、自分で決めた時間帯に行っていれば、急にそわそわしたときでも、すぐにこの「指もみ法」を行うことで、気持ちが落ち着いてきます。これを「緊急対処」と呼びます。
- もんでいるときは、意識をなるべく指先に集中させます。数を数えることで、ボーとしてしまうことが防げます。
- それでも、意識がそれてしまうことがあります。しかし、心配はいりません。意識がそれたことに気づいたら、そぐに意識を指先に向ければいいのです。気が散った自分を、責める必要はないのです。このような心構えが「マインドフルネス」と呼ばれるものです。
- 身体的な反応の早い人だと「3セット」が終わるころ、遅い人でも「5セット」が終わるころには、「副交感神経」が優位になっているサインが身体に起きて来ます。
- 「副交感神経」が優位になったことを示す、身体の起きる「具体的なサイン」を上げておきます。
- なんとなく指先が温かくなってきた。
- 手全体や足の指先の方まで温かくなってきた。
- 口の中に唾液がたまってきた。
- お腹がグーと鳴った。
- 肩の力が抜けて楽になってきた。
- 少し眠くなってきた、などです。
最後に
すぐに変化が起きる人もいれば、何も感じない人もいます。それでも1週間から10日くらい続けていると、今までと違った自分に気づけることでしょう。
それでも何も感じなかったとしたら、今のあなたには、この「指もみ法」によるリラクセーションの方法が、ふさわしくないのかもしれません。
リラクセーション法は、この「指もみ法」だけではありません。他にもたくさんありますから、他の方法に当たってみて下さい。このブログでも、順に紹介していきます。ご期待下さい。