【今一つ自信の持てない人のために】:「問題が解決するための“7つのステップ”」を知っておきましょう。

ODAN:光のさすオフィス 自己成長

皆さんは、職場で問題が起きたときに、あるいは、日々の生活の中で問題に出会ったときに、どのように対処してきたでしょうか。

すぐに解決策が見つかればよいのですが、どこから手を付けてよいかも分からず、一人で問題を抱えて悩んでしまったとしたら、それはとてもつらく悲しいものです。

今回は、自分一人で問題を解決しようとするときの、解決に至るための「無難な“手順”」を提案してみました。参考にして頂ければ、幸いです。

ODAN:空に風船

はじめに

私たちは職場でも、日々の生活の中でも、様々な問題に出会うものです。その問題が速やかに解決できればよいのですが、毎回うまく解決できるものでもありません。

一人で素早く解決できれば、それが一番です。でも、たとえ一人で解決できなくても、あなたに「解決の力」がないわけではありません。もしもあなたが、あなたの周りの誰かに相談して、その人と一緒に解決の道を探ったとしたら、あなたはすでに「解決の力」を発揮しているのです。

それでも中には問題に直面したときに、誰にも相談せず、一人でその問題を抱え込んでしまう人もいるようです。例えば:

  • 問題に直面しただけで、頭が真っ白になってしまい、問題を直視しないで放置してしまう人。
  • 解決させようと闇雲(やみくも)にいろいろやってみるが、訳が分からなくなってしまって、途方に暮れてしまう人。
  • 直面している問題が解けないことから、「なんて自分は、ダメな人間なんだろう」と自分を責めてしまう人。
  • 「これまでもそうだったけど、どうせ自分は、問題解決なんて出来っこないんだ」と自己卑下してしまう人。
  • そして、問題解決への道を歩むことそのものを、あきらめてしまう人、など。

こんな事態になってしまったら、とてももったいないことです。

確かに、問題に出会わないことが一番です。しかし、問題が全く起きないような環境や場面に、いつもいられるわけではあります。

問題に直面したときに、解決に向けての何らかの「無難な“手順”」があるとしたら、それを知っておくことは、あなたにとって決して損にはならないしょう。

今回はそのための「手順」を、「7つのステップ」として紹介します。

問題に直面したときの「7つのステップ」

あなたが問題に直面したとすれば、それだけでもあなたは今大変な状況に立っているわけです。それに加えて、もしもあなたが、その解決の「手順」で間違えてしまったとしたら、新たな問題がさらにそこに加わることになり、あなたにとっては、さらに大きな負担となってしまいます。

ODAN:ミーティングルーム

今回はそうならないために、どのようにして「問題解決への道」を歩んで行けばよいかという「手順」を、以下に「7つのステップ」としてまとめてみました。

  1. 現状をよく観察して、初期状態を覚えておく。
  2. 解決のための行動を、実際に取るべきかどうかを判断する。
  3. 今うまくいっていることは、変えずにそのまま続ける。
  4. 経験を活用するために、自分の過去を振り返る。
  5. ネガティブな感情を分析する。
  6. 原因を究明するよりも、解決に向けての行動をする。
  7. プラグマティズムの考え方を適応する。

この「7つのステップ」について、さらに詳しく見てみましょう。

ステップ1:現状をよく観察して、初期状態を覚えておく。

「問題解決の“手順”」と言うと、どうしても「問題を解決するための行動を、今すぐどのように始めればよいか」と言うことに、関心が向かいがちです。

しかし、まずここで私たちが習慣として身に付けるべき「解決の“手順”」は、「何らかの行動を起こす前に、まずは現状をよく観察して、その状態(初期状態)を覚えておくこと」なのです。

山登りの世界に「ケルンを高く積め」という言葉があるそうです。山で道に迷ったときは、自分が迷ってしまっているその場所に、石を積み上げて「道標」を作る作業を、最初に行うことを言います。

ODAN:石積みのケルン

そして、その高く積んだ「ケルン」を起点にして、正しい道を見つけるために出発します。しかし、途中で再び道が分からなくなったら、起点として自分の積んだケルンまで戻って、そこでさらに石を積んでケルンを高くし、再び正しい道を見つけるチャレンジをする。正しい道を見つけるために、この作業を繰り返すのだそうです。

「問題解決の手順」もそれと同じです。あなたが問題に出会ったときも、まずは現況を冷静に眺め、あなたが解決の手を加える前の「初期状態(デフォルト状態)」を覚えておくことが大事です。まさに、問題解決作業を開始するための、「出発地点」の明確化です。

「元の状態(デフォルト状態)」をしっかり覚えておけば、あなたが現状に手を加えたときに、仮に何らかの問題が発生してしまったとしても、「元の状態(デフォルト状態)」に戻すことができます。

ODAN:机の上の文具

ところで、何らかの行動を起こす前に、現状をしっかり記憶しておかないで、すぐに行動してしまう人がいます。たとえば:

自分が使う事務用品やキッチン用具を、いったんはきれいに片づけたとしても、使いだすとすぐにまたごちゃごちゃになってしまう人です。

このような人は、収納した引き出しやラックから事務用品やキッチン用具を取り出すときに、道具がどのようにそこにあったのかを覚えておかないで、すぐに取り出してしまうのでしょう。そのため、使った後に道具を再び片付けようとしたときに、元にあった場所に道具を戻すことができないのです。その結果、一度はきれいに片付いていた収納場所でも、使いだすとすぐに道具がごちゃごちゃしてしまうのです。

「元に戻せるようするために、初期状態(デフォルト状態)をしっかりと覚えておく」と言うことは、問題をそれ以上大きくさせなかったり、新たな問題を引き起こさなかったりするための、大切な「手順」なのです。

ステップ2:解決のための行動を、実際に取るべきかどうかを判断する。

こんな例を考えてみましょう:

あなたは、職場から派遣されて「業務改善の研修会」に参加したとします。そこであなたは、問題解決のための「新しいやり方」をいろいろと学びました。あなたにとってはとても有意義な研修会であり、「なるほど。こういうやり方もあるんだ。参考になった。」と感心して職場に戻りました。

ODAN:オフィス

研修会の翌日、あなたが出社して自分の職場の状況を眺めてみると、研修で習ったことをすぐに試したい場面が、あなたの職場にたくさんあることに、あなたは気づきます。

学んだことをすぐに試すのは、あなたがとても意欲的であるということです。しかし、人はとかく新しい“道具”が手に入ると、それをすぐに使いたくなってしまう「衝動」にかられます。

ここであなたがやらなければならないことがあります。それは、次のことの吟味です:

  • いま、自分の職場に、大きな問題が実際に起きているだろうか。
  • 今回、自分が気になってしまったことは、直ちに解決しなければならない「問題」なのだろうか。

「今まさに目の前に、実際に問題が起きているかどうか」の判断は、とても重要な判断です。ところが人は「新しい知識」を得ると、とかくその知識を基にして現在の状況を見てしまうために、実際に問題がないのに、「問題だ」と感じてしまうことがあります。

職場にせよ生活場面にせよ、私たちの周りには、解決しなければならない様々な問題があるものです。しかし、それを解決するための私たちの能力と時間は有限です。そのため、問題解決に着手する際は、それぞれの問題の重要度や緊急度を考えて、解決すべき優先順位を付け、その高いものから順に着手するものです。

「新しい知識」を身に付けることは、決していけないのではありません。しかしここで注意しなければならないことがあります。

それは、あなたの得た「新しい知識」によって、あなたが現在の状況を「問題が発生している」と誤って判断していないかどうかと言うことです。新しい知識を身に付けたために気分が変わり、それまで決めていた解決のための優先順位を、安易に変えてはならないのです。

これから着手しようとしてる問題解決の優先順位は、今すぐにも解決しなければならないほど優先順位の高いものなのか。この判断を冷静に確実に行うことが、ここでの「手順」になります。

ステップ3:今うまくいっていることは、変えずにそのまま続ける。

最初にこの「ステップ3」の結論を言います。それは、「それなりの状態で現場が問題なく動いているときは、現状を“いじらない”」と言うことです。

あなたが最近知った解決方法が、一般的には「最善・最良の方法」であったとします。しかし、それをすぐに今の職場に導入して安易に現状に手を加えることは、予想外の問題を新たに引き起こす可能性もあるのです。このリスクをしっかりと認識しておく必要があります。

ODAN:机の上のパステル色の小物

「いじらない」「手を出さない」「何もしない」ということは、とかく否定的にとられてしまいがちです。しかし必ずしもそうではありません。

大切なので、繰り返します。「現状がうまくいっているのであれば、そこにすぐに変化を加えずに、“いじらない”で、すこし様子を見る」と言うことです。

この「ステップ3」は、問題が起きていないところに、新たに問題を起こしてしまう当事者に、あなたがならないための、「一丁目一番地」とも言える大切な「手順」なのです。

ステップ4:経験を活用するために、自分の過去を振り返る。

このステップは、「確かに今、問題が実際に起きている」とあなたが判断したとき、その解決策を見つけるための「手順」です。

実際に「問題が起きている」と言うときに、あなたがその問題の解決方法を、どのように見つけ出せばよいのでしょうか。

あなたはきっと、「問題」の解決策を見つけるために、その情報を求めて、ネット検索したり、友人や先輩や上司に尋ねたりなど、さまざまなリソースに当たるのではないでしょうか。しかし、問題の解決方法を闇雲に探すのでは、とても効率が悪いものです。

ODAN:ノート3冊

このとき、一番間違いの少ない解決策を教えてくれるリソースを、あなたは知っていますか。それは、あなた自身のこれまでの「過去の体験」です。

それでは、自分自身の過去を振り返ったときに、そこからあなたは何を見つければよいのでしょうか。それは:

  • 今回の問題と同じ問題に、自分は過去に出くわしていなかったか?
  • 全く同じとは言わないが、似たような問題はなかったか?
  • 同じ問題や似たような問題に出会ったときに、自分はそれに対してどう対処して来たのか?

これらのことを、なるべく具体的に思い出してみることです。そしてさらに、次のように考えます:

  • 自分はそのとき、その問題を、どこから手を付けて解決したのだろうか?
  • 自分はそのとき、その問題を、どのように解決したのだろうか?

自分の関心を自分の外に向けるのではなく、自分自身の、しかも過去の成功体験に向けるということは、「解決策」を見つけるための、間違いのない手順なのです。「自分は今回と同じような問題を、これまでどのように解決したのか?」を思い出して、「成功した過去の解決方法」を、あなたが今直面している問題の「解決策」として試してみましょう。

  1. 全く同じではなくても、似たような場面で「どのように自分は解決したか?」を思い出して、それを今直面している問題の解決方法として使ってみる。
  2. 使ってみた結果、どのような事態が起きるかを冷静に観察する。

これは、問題を実際に解決する際の、ミスの少ない効率的な手順と言えます。

ステップ5:ネガティブな感情を分析する。

自分の過去を振り返って見ても、同じような問題にこれまで一度も直面したことがないことがあります。あるいは、過去に解決させることができた体験があったので、その時の解決策を今回の問題解決方法として使ってみたが、今回は全く通用しないこともあります。このようなケースのときは、どうすればよいのでしょうか。

ODAN:山を見つめる男

「自分の過去を振り返ったときに、同じような体験が自分には今までなかった」というケースは、今あなたが直面している事態は、あなたにとって「初めての事態」だということを意味します。

また「前にうまくいった解決方法を試してみたが、うまくいかない」と言うケースであっても、あなたが今持っている解決方法が使えないわけですから、あなたが直面している問題は、やはりあなたにとって「今回初めて直面した問題」なのです。

直面している問題に対する解決策が分からなければ、当然その人は不安になったり焦ったり動揺したりと言ったネガティブな感情に振り回されます。また、ネガティブな感情に自分が陥ってしまうと、そういう自分に対して許せなかったり恥ずかしかったりしてしまい、さらにネガティブな感情が大きくなってしまうものです。

このようなネガティブな感情のスパイラルが自分に沸き起こっていることに気づいたときは、やるべきことがあります。それは、「このネガティブな感情が、一体どのようなものによって“構成されているかを考えてみること」です。

ODAN:パソコン前のディスカッション

人は誰でも「問題」に直面すると、「解決できるだろうか?」「解決できなかったら、自分はどうなるのだろうか?」と言ったことを考えてしまい、そこからネガティブな感情が生まれるものです。しかし、直面している問題そのものが、あなたにとって「初めて出会う問題」であったとしたら、どうなのでしょうか。

あなたが今感じているネガティブな感情は、「問題の解決策が分からない」ことかから来るものに加えて、「“初めての”問題に直面していること」から来るものとの、少なくとも「2つのこと」から生まれているものだと分かるでしょう。

人は誰でも、「自分がこれまでに体験したことのない“初めての事態”」に直面すると、不安になったり焦ったり動揺したりと言ったネガティブな感情が沸き起こるものです。このことをしっかりと認識しておきましょう。この認識を踏まえて、いま自分に起きているネガティブな感情をとらえなおしてみたら、どのようになるでしょうか。

  • 「確かに問題をどうしていいかわからないので、自分はネガティブな感情になっている。でも、初めてのことなので、今自分はネガティブな感情が起きている面もあるのだ。だとすれば、自分が今ネガティブな感情になっていることは、一概におかしなこととも言えないのだ」と考えることができるでしょう。

あるいは、

  • 「自分が感じているネガティブな感情には、“初めてのことに直面したことによって生まれる部分”もあるのだ。この部分のネガティブな感情は、どんな人にも起きるものなのだ。だとすれば、ネガティブな感情に陥っている自分を、“ほかの人に比べて、自分はダメな人間だ”と卑下して考える必要はないのだ」とも考えられるでしょう。

この「ステップ」での手順をまとめます。問題に直面したときには、次の手順を取ります:

  1. 自分の中に沸き起こる「ネガティブな感情」を冷静に分析すること。
  2. その中に「初めてのことに直面したことで生まれたネガティブな感情がある」ということに気づくこと。
  3. この部分については「誰にも起きる当然のこと」として認識すること。
  4. この部分を、今自分に起きているネガティブな感情の「全体」から取り除いてしまうこと。
  5. 自分の気持ちの中の「ネガティブな感情」を、改めて捉えなおしてみること。

このような作業は、あなたが直面している問題を解決するために、あなたの持っている力すべてを、問題解決だけに集中できる「自分」に仕立て上げるための、とても大切な手順なのです。

ステップ6:原因を究明するよりも、解決に向けての行動をする。

問題を解決するときは、その問題が起きた原因を探るのが、一般的な手順でしょう。ただし、「原因を見つける」ときは、注意が必要です。

今問題を起こしている「原因」が特定されて、その原因となっている「もの」を取り除いたり、直したり、置き換えたりできれば、それで問題は解決します。問題を起こしている「原因」が消えてなくなったことで、原因が引き起こした「問題」そのものも、消えてなくなるからです。

しかし、すべての問題に対して、その問題を引き起こした「原因」が見つけられるかと言うと、必ずしもそうとも言い切れません。また、問題を起こした原因が分かれば、いつもその問題が解決できるのかと言えば、これもそうとは言い切れないのです。

そもそも原因を見つけ出すという作業は、ものすごい時間と労力が必要なことです。また、このような原因追求の作業をして、原因が解明できたとしても、それが直ちに問題解決に役立たなかったとしたら、これはものすごい損失になってしまいます。

ODAN:湖畔の男性

たとえば、あなたが自分の家の鍵をなくしてしまって、鍵が開錠できず家に入れなくて困っているとしましょう。このとき、あなたが「鍵をなくしてしまった原因」を追究する作業を始めたらどうなるでしょうか。

鍵をなくした原因を見つけようとすれば、きっとあなたは「どうして自分は、鍵をなくしてしまったのだろうか?」と考えたり、「ボーとしていたので鍵を落としたのに気付かなかったんだ。でも、どうして自分はあのときボーとしてしまったのだろうか?」と考えるのではないでしょうか。

しかし、あなたはこのようなことを、本当にこの場面でするでしょうか。実際にはしないと思うのです。

むしろ、「鍵をなくした原因」を見つけることなどせずに、「なくしてしまった鍵を見つけだす行動」を起こすと思います。あるいは、あなたは、自分自身がこの場面で今一番困っていることを改めて考えてみて、「この困ったことを解決するには、どのような行動をとればよいのだろうか?」と思いめぐらすのではないでしょうか。

例えば:

  • 「なぜ鍵をなくしたかと言う原因を考えるのをやめて、鍵を落としたと思われる場所に行って、なくした鍵を探す行動をとってみよう」とか。
  • 「鍵をなくしてしまって家に入れない。でも、とにかく家に入らなければならない。そのためには、何でもよいからとにかく何とかして家に入る方法はないだろうかと考えてみよう」とか。

問題を解決させるために、問題を引き起こした原因を見つけ出すという方法は、確かにあります。しかし、原因が分かったとしても、それが直ちに問題の解決になるとは限らないということも、知っておいてほしいのです。

むしろ、問題を起こしている「原因」を見つけ出したくなる気持ちを抑えて、「この問題のために、自分は今何をすればよいのか?」と考えて、解決行動にすぐにとりかかることの方が、早く問題解決に至ることもあるのです。

ステップ7:プラグマティズムの考え方を適応する。

問題を解決するための「正しいやり方」と言うものを、皆さんはどのように考えますか。これには次のような「立場」があります:

  1. 問題を解決するための「正しいやり方(答え)」は、最初から必ず存在するものである。そのためにその「正しいやり方(答え)」をまずは知って、それを使って、今直面している問題を解決するという立場です。
  2. 問題を解決するための「正しいやり方(答え)」が、最初から存在しているわけではない。解決に向けていろいろな方法を試してみて、その結果「あるやり方」を使ったら、実際にその問題が解決した。そのため、この「あるやり方」こそが、この問題を解決するための「正しいやり方(答え)」なのだ、と考える立場です。

この「二つの立場」の「2」の考え方が、ここでいう「プラグマティズムの考え方」に当たります。ちなみに、「1」の考え方を「演繹的」と言います。それに対して「2」の考え方を「帰納的」とも言います。

(数学)の道は帰納的である。「特殊から一般へ!」それが標語である。それはすべての実質的なる学問において必要な条件であらねばならない。数学が演繹的であると言うが、それは既成の数学の授業にのみ通用するのである。(中略)我々は空虚なる一般論に捉われないで、帰納の一途に精進すべきではあるまいか。

高木貞治『近世数学史談』(岩波文庫、p.69)

私たちが問題に直面したとき、その問題はどこにでもある「一般的な問題」の場合もあります。その時は、その問題を解決するための「答え」を調べて、今直面している問題に当てはまれば、その問題は解決するでしょう。

しかし、あなたが直面している問題が、「新しい問題」であるとき、それはまさに、あなたにとっての「特殊な問題」なのです。この特殊な問題には、一般論が最初から当てはまるものでもありません。

このような問題を解決するときは、「自分はこの問題の解決のために、今、何をすればよいのか?」と考えましょう。そして、思いついた解決方法を、一つ一つ試してみることが大切です。これは、まさに「実験」なのです。思いつく方法をいろいろと試して、答えが出るまで「実験」を続けるです。

確かに問題に直面すると、どうしても、「なぜ、こんな問題が起きてしまったのか?」「どうしてこの問題が、今の自分に降りかかってしまったのか?」と考えてしまうものです。

このような問いを立てて、これに答えられれば良いです。ところが、それに答えられないと、どうしても、「自分がダメな人間だから、こんな目に合うのだ」「こうなるのが、ダメな自分の運命なのだ」と考えてしまい、自己卑下する考えを巡らしがちです。

そうならないためには、自分の頭の中で「なぜ、こんな問題が起きてしまったのか?」「どうしてこの問題が、今自分に降りかかってしまったのか?」と言う「問い」がめぐり始めたときに、この「問い」を一時的に棚上げすることです。

大切なのは「なぜこの問題が起きたのか?」と考えることではなく、「この問題を解決するために、自分に、今、何ができるのか?」を考えることなのです。

問題を起こした原因を追究する方法だけが、問題解決の方法ではありません。問題解決のための行動を起こすことから、問題解決を始めることもできるのです。

まとめ

ここまで述べてきたことを、もう一度まとめてみましょう。

  1. 現状をよく観察して、初期状態を覚えておく……行動を起こす前には、もともとの状態(デフォルト状態)がどのようなものであったのかを、よく観察して覚えておくこと。
  2. 解決のための行動を、実際に取るべきかどうかを判断する……問題だと自分は考えているが、本当に今それが問題であるのかどうなのかを、検討する。
  3. 今うまくいっていることは、変えずにそのまま続ける……現状を改善できる方法を新たに知ったとしても、とりあえず現状が問題なく動いている(流れている)のであれば、これに手を加えることの優先順位はそれほど高くはないと考えて、現状を“いじりたくなる衝動”を抑える。
  4. 経験を活用するために、自分の過去を振り返る……問題解決策を見つけるためのリソースとして、自分自身の過去の体験を使わない手はありません。まずは、同じような場面が自分の過去になかったかどうかを検索します。そしてもしもあったのなら、まずはその解決策を、今直面している問題の解決策として使ってみましょう。
  5. ネガティブな感情を分析する……問題に直面したときに沸き起こるネガティブな感情の中には、直面した問題が、自分にとって初めてのことだったために起きている部分もあります。人は誰でも、初めてのことに直面すれば、ネガティブな感情が沸き起こるものです。この部分は、当然起きることとして、ネガティブな感情全体から、取り除きましょう。
  6. 原因を究明するよりも、解決に向けての行動をする……原因追求が必ずしも役立たないことがあります。むしろ最初から「この問題の解決状態は、どのようなものなのか?」「その状態にするためには、自分が何をすればよいのか?」と言った、解決指向で行動してみましょう。
  7. プラグマティズムの考え方を適応する…ある方法を試してみて、それがうまくいったとすれば、そのやり方が、この場面の「正しいやり方」なのです。
ODAN:コーヒーと便箋とペン

今回は「解決指向アプローチ」と呼ばれる心理療法のやり方を基に、「解決への道」を「7つのステップ」として紹介しました。

「7つのステップ」のすべてを、ここに提示した順番に実行しなくても構いません。どのステップでもいいので、ちょっと気になったものが一つでもあったなら、それを試しに使って、あなたの抱えている問題が解決するかどうかの「実験」をしてみて下さい。

この「7つのステップ」が、あなたのこれからの生き方の参考になれば、とてもうれしく思います。

でも、中には「なかなか一人では、“実験”ができない」と感じてしまう人がいるかもしれません。そのようなときは、心理カウンセラーに付き合ってもらうこともできるのです。

心理カウンセラーは、このような「実験」に付き合う人でもあるということを、覚えておいていただけると、とてもありがたいです。

タイトルとURLをコピーしました