【言葉の影響4:他人の言葉で傷ついてしまう人のために】:「A子の相談・“私、部活を辞めます!”・前編」

会話 対人関係

ブログ「言葉の影響2」では、「他人の発する言葉を、自分が取り込んでしまった時に、自分の心が受ける影響」についてお話ししました。

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今回は、この“問題”が日常の生活場面では、「どのような形で起きてしまうのか?」を知って頂きたいと考え、「物語形式」にして提示致しました。

「言葉の影響」のメカニズムをご理解頂き、その対処方法を身につけて頂ければとても嬉しく思います。

「A子の相談」の「後編」を読む。>>>

バスケット女子

なお、この「A子の相談・前編」は、完全な“フィクション”であることを、お断りいたしておきます。

また、あなたの知っているものと似たような名称や団体名が出てきたとしても、現存するものとは一切関係ないことも、併せてここにお断りさせて頂きます。

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ある日の“相談室”

それは、2学期もまもなく終わりになる、12月のある日の午後のことです。

昼休みも終わり、5時間目の授業開始のチャイムが校内に鳴り始めました。

5時間目に予約が入っていた相談が急にキャンセルになったので、スクールカウンセラー(SC)は午前中のカウンセリングの記録をつけてしまおうと、相談室でパソコンに向かって作業を始めようとしていました。

すると、

A子
A子

ちょっといいですか?

と言って、一人の女子生徒が相談室のドアを開けました。

SCが

SC
SC

どうしましたか?

と訊くと、その生徒は

A子
A子

私、2年3組のA子と言います。

5時間目が自習の時間になってしまって、担任の先生から、

担任
担任

この時間なら、他の生徒にも気づかれないから、相談室に行って、SCに相談してきなさい。

と言われたんで……。

と言って、入口のところで立ち止まっていました。

SCは、

SC
SC

どうぞ、どうそ。

この時間は予約が入ってないので、大丈夫ですよ。

お入りください。

と言って、A子を相談室に招き入れました。

A子はすぐに椅子に座ったものの、どう話し始めればよいのか戸惑っているようでした。

SCは、

SC
SC

いざ、話すとなると、案外話せないものですよ。

でも、この時間は空いていますから、あなたが一人でこの時間全部使うこともできます。

あなたが話せるところから、ゆっくり話してください。

別にカウンセリングだからと言って、何でも話さなければならないわけではありません。

今は話せないことでも、話せるときが必ず来ますから、あなたが今話せることだけ話してくれればよいですよ。

私も、無理にあなたから話を聞き出そうとはしませんから、安心して下さい。

と言って、A子が話し出すのをしばらく待っていました。

A子の心臓のドキドキという鼓動がSCにも分かるほど、相談室は静まり返っていました。

A子が語り始める。

A子は思いつめたように、SCの顔をじっと見つめていました。

そして…

A子
A子

私、バスケ部を辞めようと思ってるんです…。

と切り出して、また黙ってしまいました。

SCは、

SC
SC

大変なことを、思い切ってよく打ち明けてくれましたね。

あなたが“辞める”と決断したのには、きっといろいろと訳があったのでしょう。

私の理解を助けれくれるとありがたいのですが、あなたがそう決めたいきさつを、もう少し話してくれませんか?

と、お願いしました。

すると、A子は、

A子
A子

夏の大会が終わり、3年生が引退して、私がバスケ部の次期部長になったのです。

でも、部を上手にまとめられなくて…。

私やっぱり、部長にならなかったほうがよかったんです…。

と、話し始めました。

A子
A子

私は前から、新しい部長は2年1組のB子がいいんじゃないかなと思っていたんです。

それで、B子に「あなたが部長やってよ」って言ったんです。

そしたらB子から

B子
B子

小6の時に、キャプテンやったんだけど、私、人に指示を出したり、みんなをまとめたりするのが苦手だって、その時に分かったの。

中学に入って同じ部活になってA子を見ていたら、A子ってそういうの上手だなって、ずっとうらやましく思っていたんだ。

なので、私、A子が部長になるのがいいと思うし、そのために私も協力するから!

って言われちゃって…。

それに、顧問からも、顧問は私のクラスの担任なんですけど、

担任
担任

お前が適任だ。お前が部長をやれ!

と言われて…。

結局、部員全員から推薦されて、私が部長で、B子が副部長になったんです。

女子生徒二人

A子は、バスケ部で何があったのかを、詳しく話し始めます。

A子
A子

もともとうちらの部活は、市内のX小学校とY小学校のミニバス出身の子がほとんどなんです。

私はX小でキャプテンをやっていて、B子はY小のキャプテンで、ずっとライバルだったんで、昔からよく知っているんです。

うちらの中学のバスケ部は、男女とも“強豪”として市内でも有名なんです。

外部コーチがすごい人で、それまでずっと市の大会で優勝してきたんです。

ところが、夏の大会が終わったところで、外部コーチが辞めてしまって…。

A子はいったん話し出すと、止まらなくなったのか、さらに話を続けます。

A子
A子

保護者会の人たちが動いてくれて、やっとY小のミニバスの監督のCさんが、

Cコーチ
Cコーチ

土日の練習だけなら、見られる。

と言うので、9月からうちらの部活の外部コーチになってもらったんです。

Cコーチのことは、小学校時代から知っていたので、私もホッとしていました。

A子
A子

前の外部コーチが辞められたときは、本当にみんなショックを感じていたし、“新しい外部コーチが見つからなかったら、うちらの部活どうなっちゃうんだろう?”と、みんなとても不安だったんです。

でも、Cさんが外部コーチを引き受けて下さったので、みんなも“知っている人なので、良かったね”と言ってたんです。

ところが、Cコーチの指導で練習が始まると、前のコーチとやり方が全然違うので、みんな戸惑ってしまって…。

練習が終わると、いつもみんなが私のところにやって来て、Cコーチの文句を言い立てるんです。

最後は私に向かって、

部員たち
部員たち

部長なんだら、コーチに何とかいってよ!

と、言ってきて…。

私、責め立てられてばかりでした。

それでも、Y小出身の子たちは、もともとCコーチから指導を受けていたので、Cコーチの指示でだんだん動けるようになったんです。

それに引き換え、X小出身の子たちは、なかなかCコーチの指示通りに動けなくて…。

そんな状態が続いたまま秋の大会を迎えることになってしまったんです。

でも相変わらずCコーチとメンバーとのコミュニケーションは、うまく取れないままでした。

実際、本番の大会でもコーチから出される指示が、相変わらず私たちには理解できず、試合中もみんな勝手に判断して動いちゃうので…。

部長として試合中に何とかチームを立て直そうとして、私、自分で考えて、みんなにその指示を出したりしたんですけど、それだとコーチの出している指示と違うので…。

私、もう、どうしていいのか分からなくなっちゃって…。

何とか頑張ったんだけど、結局、準決勝戦で負けてしまい、先輩たちが築いてきた連続優勝の記録を、うちらの代でストップさせてしまったんです。

そんなんで、試合が終わった後、コーチから呼び出されて、教官室に一人で行ったんです。

すると、Cコーチから、

Cコーチ
Cコーチ

何で大事な試合なのに、俺の指示通りに、お前は動けないんだ!

部長のお前が、足を引っ張ってどうするんだ!

全くお前は、役に立たない部長だよ!

お前がしっかりメンバーを指導しないから、ダメなんだ!

部長なんだから、もっとちゃんとしろ!

と、一方的に怒られてしまって…。

でも、Cコーチの言う通りなんです。

本当にそうなんです。私って、ダメな部長なんです。私がみんなの足を引っ張っているんです。私は役に立たない部長なんです。

だから、私が部長を辞めて、いっそのこと、私がバスケ部からいなくなってしまった方が、いいんです。

私がいたら、勝てっこないんです!

と、ここまで一気にA子が吐き出しました。

そのとき、それまで必死にこらえていた涙が、A子の左の瞳から頬に、ひとすじ流れ落ちました。

A子はその涙を左手でさっとふき取ると、そのまま左方にある窓に顔を向け、何もなかったかのように、遠くの景色を眺めていました。

気持ちを落ち着けようとしてるのか、A子はしきりに大きく息を吸っていました。

“思い”を一気に吐き出したA子に対して、SCは…。

A子が落ち着くのを待って、SCは、

SC
SC

あなたが詳しくお話してくれたので、私の理解が進みました。ありがとう。

あなたが部活を辞めたいと思ったいきさつは、とてもよくわかりました。

ただ、あなたが詳しく話してくれたのに、逆に私が誤解してしまうのだと申し訳ないので、あなたが答えられたらでいいんですが、教えてほしいことが一つあるのです。

SCから意外なことを訊かれて、ちょっと戸惑った表情としたA子は、そのままじっとSCの顔を見つめていました。

SCはA子の視線を受け止めると、次のような“問い”をA子に投げかけました。

SC
SC

涙って、いろいろな感情のときに、あふれてくるものですよね。

私たちは悲しいときに、自然と涙を流します。安心したときも、ホッとして涙が出てくることがあります。

でも、怖いときも、怒ったときだって、涙は流れます。

なので、あえて訊きたいのですが、あなたが今流した涙は、あなたのどんな気持ちから流れ出たものなのですか?

涙に言葉があったとしたら、その涙は何と言うのでしょうか?

もしよかったら、教えてくれませんか?

と、SCは尋ねました。

SCの方に顔を向けて、じっとSCを見つめていたA子は、少し考えた後、

A子
A子

悲しいんではないです。悔しいんです!

私が一生懸命にやっているのに、なんで私が、Cコーチから

Cコーチ
Cコーチ

お前が、みんなの足を引っ張ている!

なんて、言われなければならないのですか!

でも…。

Cコーチが言うとおり、やっぱり私、ダメな部長なんです!

そうに決まっています!

と、怒った口調でSCに言葉を返してきました。

SCからA子へのもう一つの質問。

A子の興奮がおさまるのを少し待ってから、

SC
SC

もう一つ、質問してもいいですか?

あなたがバスケ部を辞めると決めたいきさつを、他の人は知っているのですか?

とSCはA子に尋ねました。

≪「物語・A子の相談」の「後編」に続く≫

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